リンゴ

アロエが「医者要らず」と呼ばれるように、リンゴも「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」と言われるぐらい、栄養価が高く、腸の働きを活発にし消化吸収を助ける食物繊維やビタミンC、ミネラル、体内の塩分を排出してくれるカリウムなどを含むすぐれた果物。
整腸作用、血圧低下、抗酸化作用、疲労回復、動脈硬化予防などの作用があり、リンゴに含まれるリンゴポリフェノールには脂肪の蓄積を抑制する効果もある。


このポリフェノールが空気中の酸素と結合するために、リンゴはカットするとすぐに茶色くなってしまいます。
これを防ぐために薄めの塩水に晒す方法が利用され、もっと効果的に変色を防ぐにはレモン汁に晒します。
レモン汁に含まれるビタミンCが酸素と結びつき、ポリフェノールと結合した酸素をも奪うため、リンゴを変色から守る状態を作ります。


食べ方としては、リンゴそのものを味わう生食には、やはりふじが最適。
そしてアップルパイなどのお菓子作りには、紅玉・ジョナゴールド・国光といった品種が甘すぎず、程よく酸味が含まれているので向いています。


リンゴの保存で注意して欲しい事は、常温よりも冷蔵保存。
ただし、リンゴはエチレンガスという成分を放出し、他の果物の熟成を早めてしまう
恐れがあるので、近くには置かないように。
ただ、果物には早熟の効果があるりんごも、ジャガイモなどの野菜に関しては発芽を防ぐ不思議な効果(エチレンの植物ホルモンとしての働き)もあります。


ドリアンとは違った意味で「果物の王様」と言えるかもしれません。

リンゴの原産地はカザフスタン南部、キルギスタン、タジキスタン、中国の新疆ウイグル自治区など中央アジアの山岳地帯、コーカサスから西アジアにかけての寒冷地。
17世紀前半にはヨーロッパからアメリカへ持ち込まれ、現在では世界中の寒冷地でリンゴが栽培されています。
日本では中国から最初に持ち込まれ「和りんご」がありましたが、ガルトネルにより西洋リンゴが持ち込まれると日本でも西洋リンゴの方が一般的になりました。

 

西洋リンゴの初栽培は、プロシア(現:ドイツ)人の農業指導者であるR.ガルトネルが、明治2年に土地を借用し西洋農業として始めました。
七飯町(国有林)には植林されたブナの人工林があり、これを「ガルトネルブナ林」と呼ばれ、七飯町は“リンゴ初栽培の地”と同時に“西洋農業発祥の地”ともいわれています。
ガルトネルは明治新政府(箱館府)が誕生し、土地の使用許可が下りないため、明治4年に函館を去りました。
ガルトネルはリンゴ以外にも、洋ナシ・サクランボなどの苗木を母国から取り寄せ、初栽培を行っています。

 

りんごの栽培法には、果実に袋をかける有袋栽培とかけない無袋栽培があり、無袋の方が日光が多くあたり味がよくなる傾向がありますが、有袋の方が果実が傷つきにくく見た目がきれいになります。
名称の頭に「サン」が付くリンゴは無袋で栽培されたことを示します。

日本では、これまでに約1,000種以上の品種導入が行われましたが、日本の気候や風土、消費者の嗜好に合致したものはわずか20数種類。その中から有名な物を中心に……

ふじ
甘みが強く歯ごたえもよいし日持ちもする。
世界的でも日本でも、現在栽培されている品種の中では最も多く、生産量の多い品種。1939年に農林水産省果樹試験場盛岡支場が国光とデリシャスを交配させ生まれ、1958年に「東北七号」と仮称命名され、1962年に「ふじ」と命名された。
袋をかけず、太陽の光をいっぱい浴びて育った果実は、有袋栽培のものよりも、着色や肌などの外観と貯蔵性は劣りますが、甘さ、香りなどの食味はいっそう良くなり、サンふじといわれます。

デリシャス (Delicious)
年間生産量約930万トン。アメリカで誕生し「おお、これはうまい(デリシャス)!」と叫んで、名称が決まったということです。
1913年に岡山県の花房省吾の手によって日本に導入された。


ゴールデンデリシャス(Golden Delicious)
アメリカのウェストバージニア州で偶発実生として発見された品種。年間生産量約880万トン。日本には1923年に導入された。

王林 (おうりん)
福島県の大槻只之助がゴールデンデリシャスと印度を交配させ生まれる。緑色に斑点のついた外見が特徴の晩生品種で香りと甘みが強く、果肉も柔らかい。
保存性が高く、冷蔵庫で管理・保存したものが、春先まで出荷される。1952年命名。


紅玉(こうぎょく)・Jonathan(ジョナサン)
1800年頃、アメリカニューヨーク州のリック農園で偶発実生として発見。1871年に開拓使によって導入され、1900年に紅玉と命名。酸味が強く生食向きではないが、芳香があり焼菓子(アップルパイ)などへの加工用途に用いられることが多い。
その名の通り艶やかな深紅のリンゴで、やや小玉で酸味が強く果肉のきめは細かい。
明治時代における青森県のりんご7大品種の一つ。

国光(こっこう)
アメリカバージニア州原産
戦前から1950年代にかけては「紅玉」と並ぶ、日本ではもっともポピュラーな品種であった。
果皮は黒ずんだ赤色で、果肉はかたく、甘みは少なく比較的さっぱりした味わい。
「ふじ」などの交配親として利用されたが、現在は黒石市でネット販売のみである。
明治時代における青森県のりんご7大品種の一つ。


津軽(つがる)
果汁が多く、甘みが強くふじに次ぐ国内生産高を誇っています。。1930年に青森県りんご試験場でゴールデンデリシャスと紅玉を交配させて作り出され、1970年に「青り2号」と仮称命名、1973年に「つがる」と命名。1975年に種苗登録される。

アルプス乙女
ヒメリンゴの一種で、最小級の大きさのミニりんご。1964年、長野県松本市で波多腰邦男がふじと紅玉の間の実生から発見した偶発実。 アルプスのふもとで誕生したため、このような品種名が付けられました。
観賞・生食兼用種で、実生時期と適度な実の大きさから縁日のりんご飴に好んで用いられる。


世界一
最大の品種。500 - 1000グラムほどの大きさになる。1930年に青森県りんご試験場がデリシャスとゴールデンデリシャスを交配させ生まれる。

印度(いんど)
日本初の品種。1875年(明治8)に弘前市で誕生したとされるがその経緯は不明な点が多い。実は堅いが、甘味が強くて酸味は少ない。戦後、高級リンゴとして出回ったが、その後、他品種が広がるとともに一時姿を消す。2002年頃にまた出回るようになった。
名の由来はインドではなくインディアナから。


マッキントッシュ(McIntosh、和名:旭)
1870年にカナダのアラン・マッキントッシュ農園で偶然発見された品種。北米ではポピュラーな品種。日本では積雪に強いことから北海道で栽培されているが生産量は多くない。アップルのパソコン「Macintosh」の名前の由来。

ジョナゴールド(Jonagold)
1943年、アメリカのニューヨーク州立農業試験場でゴールデンデリシャスと紅玉を交配させて生まれ、1970年に秋田県果樹試験場によって導入された。酸味と甘みのバランスが良く、貯蔵性も高いことから生食の他にお菓子・料理用に使われています。


直葬・天国への引越